研究課題/領域番号 |
10671416
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高橋 徹 岡山大学, 医学部, 助手 (40252952)
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研究分担者 |
平川 方久 岡山大学, 医学部, 教授 (70033058)
赤木 玲子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教授 (50150967)
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キーワード | 虚血性急性腎不全 / ストレス蛋白 / ヘム / ヘムオキシゲナーゼ-1 / スズ(SnCl_2) |
研究概要 |
腎は虚血再灌流に伴う酸化的ストレスにより容易に虚血性急性腎不全(IARF)に陥るが、その際腎細胞を防御する効果的治療法は未だない。Heme Oxygenase-1(HO-1)は、ヘモグロビン、ミオグロビンなどヘム蛋白の必須構成要素であるヘム(鉄-プロトポルフィリン体)分解の律速酵素であると同時に、その遺伝子解析により分子量32kdのHSP32でもあることが明らかとなっている。また、HO-1は基質であるヘムのみならず熱刺激、重金属、サイトカイン、紫外線照射などの酸化的ストレスによって細胞内に誘導され,細胞保護的に働くことが報告されている。我々は昨年、IARFにおいてHO-1が腎に誘導され、HO-1を抑制するとIARFが悪化することから、HO-1が腎細胞保護的役割を果たすことを示唆した。HO-1誘導をIARFの治療に応用するためには、臓器障害を来すことなく腎特異的にHO-1を誘導する方法の開発が必要である。重金属であるスズ(Sn^<2+>)はこれまで腎HO-1活性を上昇させることが知られていた。そこで、まず、我々はラットへのSnCl_2投与が腎HO-1発現に及ぼす影響を検討した。その結果、SnCl_2は腎毒性を示すことなく腎尿細管細胞特異的に転写・蛋白両レベルでHO-1を顕著に誘導することが明らかとなった。次に、ラットIARFモデルに対し、虚血前にSnCl_2を投与しHO-1誘導が虚血性腎傷害に及ぼす影響を検討した。その結果、SnCl_2投与群では、虚血再灌流後の血清BUN、Creatinineの上昇が対照群と比較して有意に抑制され、腎組織傷害も軽度であった。以上より、腎特異的なHO-1誘導はIARFの予防や腎傷害の軽減に有用であると考えられた。
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