研究概要 |
1.敗血症性ショック15名(7名;生存群、8名;死亡群)の臨床患者で血漿NOx、sFas、炎症性サイトカイン、血清ビリルビンが5mg/d1以上の肝障害、血清クレアチニン値が5mg/d1以上の腎障害、P/F ratioの検討を行った。肝障害は生存患者で43%、死亡患者で75%、腎障害は生存患者で14%、死亡患者で100%P/Fratioは108±28vs.177±37と死亡群で有意に低値を示し、NOxレベルは112.4±27.4vs.68.5±30.3μM/L、sFasは3.3±1.2vs.1.4±0.5U/mlとともに死亡群で高値を示したため臓器障害と何らかの関係があるのではないかと思われたが、侵襲の大きさ、時間関係が明確でないため動物実験より検討を加えた。ラット盲腸結紮一回穿刺敗血症モデル、肝臓虚血再灌流モデルでは血漿NOxレベルは33.5±2.8vs.26.2±1.9μM/Lと上昇は見られたが弱く、またsFas、肺組織でのFasの発現も弱いが、肝組織では強く、特に肝臓虚血再灌流モデルでの急性肝障害発症の成因としてNO、肝組織apoptosisは何らかの影響があるのではないかと考えられた。 2.次に14名のショック患者で腸管洗浄を行えた患者4名と行えなかった10名で血清ビリルビン値、腸障害のマーカーとしてDAO,炎症のマーカーとしてIL-6,IL8,抗炎症のマーカーとしてIL-10、アポトーシスのマーカーとしてsFasを測定して検討した。洗浄群と非洗浄群に数の上で差があったため、有意差は見られなかったが総ビリルビンとsFas(p=0.045),直接血ビリルビンとsFas(p=0.043)、DAOとsFas(p=0.010)の間に有意の相関が見られアポトーシスと腸管の障害と多臓器障害時の高ビリルビン血漿の関係が示唆された。
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