レボブピバカインは、ブピバカインのS(-)体で、ロピバカインもS(-)体である。レボブピバカインとロピバカインは、ブピバカインのラセミ体またR(+)体より心毒性ならびに中枢神経系にする毒性が弱いとされているが、麻酔効果を直接比較したものはない。 硬膜外麻酔:ペントバルビタール麻酔下に雄SDラットのT13/L1間で硬膜外腔へPEー10カテーテルを留置した。5日後、神経障害のないことを確認して、0.25%、0.5%、0.75%のレボブピバカイン、ブピバカイン、またはロピバカイン0.1mlをカテーテルより注入した。歩行が可能になるまでの時間(運動麻痺)および尾逃避行動潜時(知覚麻痺)を測定した。後者から%MPE(maximum possible effect)、AUC(曲線下面積)を求め比較した。%MPEは3つの局所麻酔薬で濃度依存性に増加した。%MPEが回復するまでの時間とAUCは、レボブピバカインとブピバカインでは差がなかったが、レボブピバカインはロピバカインより有意に長く大きかった。歩行が可能になるまでの時間は、低濃度でレボブピバカインとロピバカインはブピバカインより短く、高濃度でレボブピバカインとブピバカインはロピバカインより有意に長かった。 脊椎麻酔:セボフルラン麻酔下に雄SDラットのL4/5間で30ゲージ針でくも膜下腔を穿刺して、0.5%、0.75%のレボブピバカイン、ブピバカイン、またはロピバカインを0.03ml注入し、セボフルラン吸入を中止した。セボフルランの効果は3分以内に消失した。どの局所麻酔薬でも、歩行が可能になるまでの時間は%MPEの回復より短かった。歩行が可能になるまでの時間は、0.5%ではロピバカインとレボフピバカインがブピバカインより有意に短かったが、0.75%ではロピバカインがやや短いものの3つの間に有意差はなかった。AUCはレボブピバカインとブピバカインがロピバカインより有意に大きかった。 結論:硬膜外投与でもくも膜下投与でも、レボブピバカインの知覚神経遮断効果は、ロピバカインより長く続く。運動神経遮断効果は、低濃度ではレボブピバカインとロピバカインは同程度の持続であるが、高濃度ではレボブピバカインのほうが長い。
|