研究概要 |
【研究方法】ラットの肝、腎スライスを作製し前培養を行った後、肝は培養液を95%O_2+5%CO_2で酸素化した群(O_2群)とN_2で置換した低酸素群に分け、更に両群に培養液中のプロポフォール濃度が0μg/ml(P-0)、1μg/ml(P-1)、4〜5μg/ml(P-5)の臨床使用濃度群を作り2時間培養を行った。次に-O_2群、低酸素群ともに95%O_2+5%CO_2で再酸素化し2時間培養をした。2時間培養時と、再酸素化1時間後と2時間後に肝細胞内K濃度を測定した。腎は前培養後、O_2群と低酸素群に分け、両群に培養液中のP-0群、P-5群を作り30分培養を行った。次にO_2群、低酸素群ともに95%O_2+5%CO_2で再酸素化し2.5時間培養をした。30分培養時と、再酸素化30分後、2.5時間後に腎細胞内K濃度を測定した。 【結果】1,O_2群のP-0群の肝細胞内K濃度を100として、培養2時間後、再酸素化1時間後、2時間後の濃度は、O_2-P-1群で105±3、97±7、108±10、O_2-P-5群で109±1、103±8、106±12、低酸素のP-0群で71±8、88±7、115±14、低酸素のP-1群で48±13、73±9、93±8、低酸素のP-5群で47±4、68±1、67±4であった。2,O_2群のP-0群の腎細胞内K濃度を100として、培養30分後、再酸素化30分後、150分後の各群の濃度はO_2群のP-5群で98±6、104±9、121±17、低酸素のP-0群で57±10、95±7、97±18、低酸素のP-5群で48±13、74±10、100±20であった。【結論】プロポフォールの臨床使用濃度では酸素のある状態では細胞保護作用が示唆されるが、虚血再潅流時には逆に障害的に作用することが示唆され、今後組織中アデニンヌクレオオチド、培養液中酵素活性の測定等を含め検討を行なう計画である。
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