研究課題/領域番号 |
10671437
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
勝屋 弘忠 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (20040561)
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研究分担者 |
伊藤 猛雄 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (70159888)
中野 もとみ 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (30275143)
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キーワード | プロポフォール / プロスタサイクリン / H_2O_2(過酸化水素) / ウサギ腸間膜動脈 / 膜過分極 |
研究概要 |
等尺性張力記録法・微小電極による膜電位記録法および細胞内Ca^<2+>濃度測定法などにより、プロポフォールの抵抗血管に対する作用を検討し、プロポフォールはウサギ腸間膜動脈血管平滑筋において、細胞内Ca^<2+>濃度調節機構に作用することが明らかとなった。その作用は、(i)L型Ca^<2+>-channelsの抑制、(ii)アゴニストによる細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>動員機構の抑制、(iii)Ca^<2+>の細胞外への排泄機構の抑制などであり、(i)+(ii)の機構はこの血管でのノルエピネフリンや過剰K溶液による収縮の抑制に主要な役割を果たしていることが判明した。一方、内皮細胞機能に対して、プロポフォールは、アセチルコリンによるEDHF(膜過分極因子)の合成・遊離には影響を与えないが、プロスタサイクリンの生成を著明に抑制し、その結果としてアセチルコリンによる内皮依存性弛緩反応を抑制することが判明した。プロポフォールは、活性酸素スカベンジ作用を有することが知られているが、その生理的意義は明らかではない。この点について検討するため、活性酸素群の一種であるH_2O_2のウサギ腸間膜動脈に対する効果を検討した結果、H_2O_2は、内皮非依存性に(血管平滑筋細胞への直接作用により)プロスタノイド(PGI_2、PGE_2)を生成させ、ノルエピネフリンや過剰K溶液による収縮を抑制すること、さらにこのノルエピネフリン収縮抑制作用はグリベンクラマイド感受性K_<ATP>channels活性化による膜過分極が関与していることが判明した。血管内皮細胞でのアセチルコリンによるプロスタサイクリン生成を抑制したプロポフォールが、H_2O_2による血管平滑筋細胞でのプロスタサイクリン生成に対しいったいどのような効果を示し、かつこの作用がこの薬物の有する活性酸素スカベンジ作用とどのように関連していくのか非常に興味深い。
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