研究概要 |
脊髄手術,大動脈手術時の脊髄障害を未然,または最小限に抑えるため手術中に大脳運動野への経頭蓋的電気刺激によるMyogenic Motor Evoked Potentials(MEps)による運動機能の評価を行ってきた.去年度はMEPsの導出の方法論の改良,確立,および術中モニタリングと予後の関係の検討を主に行ってきた.しかしながら手術中,麻酔中のMEPs導出は非常に困難でありこれらのことに対して世界的にはまだまだ確立されておらず,刺激方法の改良,麻酔方法の影響,筋弛緩の至適レベル,体温の影響など解決しなければならない問題点は多い.また手技,装備の簡略化を図らなければならない.刺激方法の改良としてトレインパルスにて電気刺激可能なマルチパルス(D185)が本邦でも発売されたため,本器を用いて研究を進めているところである.今回は刺激方法と吸入麻酔薬との関係を報告できたが,来年度は現在進行中である,個体におけるMEPsのValiabilityについての検討,膀胱直腸機能のモニタリング法の確立,体温とMEPsの関係について完成させる予定である.また今後の展望としては,上記のことを土台とし胸部動脈瘤への人工血管置換術時の脊髄虚血に対するモニタリングとしての経頭蓋的刺激によるMEPsを確立していきたい.
|