麻酔薬の脊髄後角細胞活動に及ぼす影響に関する研究(侵害刺激として執刀刺激を用いて)

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10671442
• 研究機関: 埼玉医科大学
• 研究代表者: 長坂 浩 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (10189110)
• キーワード: 脊髄 / ケタミン

研究概要

方法:ネコを用いた。笑気-酸素-ハロタン麻酔下にて外科的操作を行い、除脳、L1-2間での脊髄切断を行い、椎弓切除後脊髄を露出した。外科的操作終了とともに100%酸素のみにて調節呼吸を行った。左後肢に興奮性受容野をもつ第五層型細胞活動は、細胞外微小電極法により導出された。実験を以下の如く3群に分け、第五層型細胞活動を観察した。(1)対照群:メスを用いて執刀刺激を加えるために興奮性受容野の中心部領域に約1cmの皮膚切開を加え、60分間観察する。(2)ケタミン前投与群:ケタミン3mg/kgもしくは10mg/kg静脈内投与後5分に、約1cmの皮膚切開を同様に行い、誘発発射活動を60分間観察した。(3)ケタミン後投与群:皮膚切開を同様に行い10分後ケタミン3mg/kgもしくは10mg/kgを静脈内投与し、誘発発射活動を50分間観察した。ケタミン前投与群では、皮膚切開1分後の第五層型細胞活動の発射活動を対照群と比較した。ケタミン静脈内投与後55-60分の第五層型細胞活動の発射活動の平均値を各々ケタミン前投与群とケタミン後投与群とで比較した。結果ケタミン3mg/kgと10mg/kgの前投与群後投与群ともケタミン静脈内投与後55-60分の誘発発射活動を同程度に抑制した。従って、ケタミンの前投与群の有用性は観察されなかった。この結果は、侵害刺激として用いたフォルマリンの結果と異なる。

研究成果

• [文献書誌] DeHaven-Hudkins DL, Nagasaka H et al: "Loperamide, an opioid antihyperalgesic agent with peripheral selectivity"J. Pharmacol Exp Ther. 289. 494-502 (1999)
• [文献書誌] Nagasaka H et al: "Effect of ketamine on formalin-induced activity in the spinal dorsal horn of spinal cord-transected cats"Acta Anaesth Scand. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] 長坂 浩、その他: "全身性エリテマトーデスおよび抗リン脂質抗体症候群を合併した妊婦の帝王切開術の麻酔経験"臨床麻酔. 23. 1584-1586 (1999)
• [文献書誌] 初雁育介、長坂 浩その他: "脳動静脈奇形(AVM)を合併した妊婦の麻酔経験"麻酔. 49. 33-36 (2000)
• [文献書誌] 田口理知,長坂 浩,その他: "若年者,高齢者,および超高齢者における0.5%ブピバカイン脊椎麻酔の検討"臨床麻酔. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] 長坂 浩: "全身性エリテマトーデス"臨床麻酔. 23. 963-970 (1999)