研究課題/領域番号 |
10671446
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
森田 茂穂 帝京大学, 医学部, 教授 (60143476)
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研究分担者 |
市瀬 史 帝京大学, 医学部, 講師 (40276712)
上園 昌一 帝京大学, 医学部, 講師 (10291676)
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キーワード | 急性肺障害 / エンドセリン / 接着分子 / エンドトキシン / 一酸化窒素 |
研究概要 |
急性肺障害では、血中の白血球が組織に浸潤し組織を破壊することが知られている。白血球が組織に浸潤する過程は、EselectinやICAM-1といった接着分子を介して行われる。われわれは、これまで接着分子発現の調節機構について検討してきた。本研究の目的は、血管収縮作用物質であるエンドセリンの血中濃度が急性肺障害で上昇するという新知見をもとに、エンドセリンが接着分子発現に直接影響を及ぼすという仮説を細胞レベルと個体レベルで検証することである。 本研究の1年目において、エントセリンの接着分子発現に及ぼす影響を、cell ELISA法を用いて検討し、以下の結果を得た。培養細胞には、ヒト肺微小血管内皮細胞を用いた。 1.エンドセリンの3つの異なるアイソフォームのうち、血管収縮作用のあるET-1は、1-1000nMの範囲で、濃度依存性にLPS(エンドトキシン)で刺激されたICAM-1、E-selectinの発現を増強した。増強の程度は最大で30%程度であった。一方、刺激しない状態では、ET-1の接着分子発現に対する効果は観察されなかった。 2.ET-2、ET-3は、接着分子発現に関しては、刺激の有無にかかわらず影響を及ぼさなかった。 3.一酸化窒素(NO)は血管拡張作用を持ち、ET-1の血管収縮作用に対抗している。肺血管では、NOとET-1のバランスが血管のトーヌスを決定すると考えられている。1の結果をもとに、NOの接着分子発現に関する影響を検討したところ、NOは、LPSで刺激された接着分子の発現を、ET-1とは逆に抑制した。抑制の程度は20-30%であった。 以上の結果をもとに、The opposing effects of NO and endothelin on the expression of pulmonary vascular endothelial cell adhesion moleculesのタイトルで現在論文作成中である。
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