研究概要 |
血中PSA mRNAの測定が盛んに行われているが、いまだにその臨床的意義は不明である。その理由はRNAの抽出、RT-PCR,PCR産物の電気泳動と複雑な過程が必要であり、primerの設定をはじめ各施設により方法がまちまちであるためである。 我々はPSA mRNA測定の標準化をめざしてELISA PSA mRNA検出系を作成した(Urology53,228-235,1999)。さらに、血中PSA mRNA測定の標準化には測定の感度をあげることが必要な条件である。 primerの設定 PSA遺伝子は1466bpであり、4つのIntronと5つのExonで形成されている。1466bpのPSAcDNAを網羅するように8種類のprimerを設定した。 前立腺癌LNCaP,PC-3,DU145,腎癌5,膀胱癌2,精巣腫瘍2の合計12種類の培養細胞を用いてRT-PCRでPCR産物の有無を検討した。primer4のみが3種類の前立腺癌細胞のみに680bp(172-851)のPCR産物を認め、さらにSouthern blotで確認した。(Int J Urol 6,526-531,1999)。また、Subcloningにて、この領域の遺伝子変異がほとんどないことを確認した(日泌尿会誌,90,220,1999)。 ELISA PSA mRNAの検出感度をさらにあげるために、磁気ビーズを用いて血中より癌細胞を抽出する改良をおこなった(第59回日本癌学会総会記事p118,1999)。
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