研究課題/領域番号 |
10671457
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
島居 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (80235613)
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研究分担者 |
内田 克紀 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20223555)
河合 弘二 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90272195)
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キーワード | 腎癌 / カドヘリン / 血行性転移 / RT-PCR / 予後因子 |
研究概要 |
今年度はcadherin-6に対する定量的RT-PCRによる腎癌患者の末梢血液における腎癌細胞の検出を施行し、転移との相関性について検討した。 対象は腎癌患者49例(初発36例・再発13例)と対照健常者12例で末梢血(10ml)よりFicoll/hipaque (Pharmacia)法にて単核細胞分画を採取、Trizol法にてRNAを抽出した。cDNAは逆転写反応により合成、ABIPRISM^<TM> 7700による定量的PCR法にてcadherin-6mRNAを定量した。internal controlはrRNAの発現量を用い、検出感度は対照健常者におけるcadherin-6mRNAの発現量とcadherin-6発現腎癌細胞株SKRC-33の希釈系列により設定した。転移を有する患者における陽性率、転移のない腎癌患者の手術前後のcadherin-6の発現量を検討した。 結果としては、健常者血におけるcadherin-6の発現量からcut off値を設定したところ、SKRC-33細胞株濃度では1000細胞/血液1ml相当が検出限界と考えられた。このcut off値に基づく検討では、転移を有する腎癌患者における陽性率は9/13(69.2%)で、転移を有さない初発腎癌患者においても13/36例(36.1%)で陽性で、これらの内6例は術後に陰性化した。また初発腎癌患者における発現量は癌の病期、異型度との相関性は見られなかった。 cadherin-6mRNA定量による血中腎癌細胞の検出は、1000細胞/1ml血液以上の細胞数が必要と考えられ、これは細胞分画の採取、RNA抽出の効率などによると考えられた。有転移患者における陽性率から、循環血液中の腎癌細胞の検出に応用できる可能性が示唆された。また転移を有さない腎癌患者における陽性例、術後の陰性化から将来的な転移との関連性の検討が必要と考えられた。
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