研究概要 |
間質増殖の主因はコラーゲン繊維の増生と平滑筋細胞の増殖とにあり、これら間質増殖はepithelium-stroma interaction(上皮-間質相互作用)のもと、腺上皮細胞からの各種のサイトカイン、増殖因子によって大きな影響を受けていることが予測される。当該年度において、エストロジェン誘導間質増殖モデル(3週齢去勢後6週齢ラットに微量エストロジェンを投与することにより間質増殖が精嚢および前立腺側背葉におこる)として顕著な間質増殖がおこる精嚢を用いて腺上皮基底細胞と間質細胞に焦点を当てて検討をした。 1) 微量エストロジェン投与方法の基礎的検討:ステロイドホルモン投与方法には注射法以外に微量に一定量を徐放的に投与できる方法としてシラスチック・チューブ(silastic tubing)を用いる方法がある。われわれは微量エストロジェン投与にシラスチック・チューブを用いて検討を行い、注射法と同様に顕著な間質増殖効果を認める成績を得た(Kitakanto Med J,1998)。 2) 微量エストロジェン投与による上皮基底細胞でのTGF-βの発現:3週齢去勢ラットに微量エストロジェンをシラスチック・チューブを用いて徐放的に投与し、TGF-βおよびサイトケラチンのエストロジェン反応特性を検討した。精嚢上皮には基底細胞としての特性(基底細胞特異蛋白サイトケラチン34βE12抗体で陽性)を持つ上皮細胞が増殖し、これらの細胞がTGF-β1に強く陽性反応を示す結果を得た[Tohoku J ExpMed,1999(in press)]。 3) エストロジェン投与による上皮細胞でのTGF-βレセプターの発現:2)の結果と比較しながら上皮細胞で発現したTGF-βレセプターの発現特性を抗体を用いて検討する。我々が作製したTGF-βレセプター抗体では特異性のある染色が観察出来なかったので市販の抗体(Santa・Cruz)で検討を進めている。
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