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1999 年度 実績報告書

前立腺癌に対する成長因子受容体を用いた新しい遺伝子治療の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10671474
研究機関広島大学

研究代表者

松原 昭郎  広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (10239064)

研究分担者 三田 耕司  広島大学, 医学部, 助手 (70304425)
キーワードFGF / 前立腺癌 / 遺伝子治療
研究概要

本研究者は前立腺癌のホルモン依存性から非依存性への悪性化に、FGFやその受容体であるFGFRの変異が密接に関係していることを明らかにしてきた。すなわちDunningラット前立腺腫瘍モデルを用いてFGFおよびFGFRの発現・機能について検討したところ、アンドロゲン依存性・高分化癌細胞にはFGFRの1つであるFGFR2IIIbが存在し、アンドロゲン刺激で間質細胞から産生されるFGF-7によって増殖調節を受けるのに対して、ホルモン非依存性・未分化癌へと進行した癌細胞ではFGFR2IIIbは完全に消失し、間質からのFGF-7による増殖調節を逃れるとともに、本来間質細胞に限局して存在し、FGF-7に親和性のないFGFR1とそのリガンドであるFGF-2などが新たに増幅発現、オートクラインループを形成する結果、自律性増殖を獲得して悪性へと進行して行くことを示唆する結果が得られた。一方、ヒト前立腺癌細胞株とヒト前立腺癌組織を用いてFGFR2IIIbとFGFR1の発現を検討したところ、組織学的分化度の低下に伴ってFGFR2IIIbは消失、FGFR1は増幅発現していたことから、ラットでのFGFR2IIIbの消失ならびにFGFR1の活性化とアンドロゲン依存性消失との関係は、ヒト前立腺癌においても存在することが示唆された。これはFGFR2IIIbの発現回復ならびにFGFR1の不活化がホルモン不応性前立腺癌の治療に結びつく可能性を示している。そこで、このホルモン非依存性ラット前立腺癌細胞にFGFR2IIIb遺伝子を導入、発現を回復させると、FGF-7や間質細胞によって増殖が強く抑制されるとともに、クラチンの発現や組織学的腺管様構造の形態を示すなど、対照ではみられない分化が誘導されるなどの成績が得られ、間質からのFGF-7を介したアンドロゲンの増殖調節機構が回復したものと考えられた。また、ホルモン非依存性ラット前立腺癌細胞にキナーゼドメインを欠いたFGFR1を導入、ドミナントネガティブ効果による内因性FGFR1の不活化を試み、in vivoでの増殖抑制効果についてはFGFR2導入と同様の成績が得られた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Akio Matsubara: "Hormone refractory prostate cancer and fibroblast growth factor receptor"Breast Cancer. 6(4). 320-324 (1999)

  • [文献書誌] 松原昭郎: "前立腺癌の遺伝子治療-線維芽細胞成長因子受容体2の発現回復によるラット 悪性前立腺腫瘍細胞の増殖抑制-"西日本泌尿器科. 61(5). 418-422 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2014-02-17  

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