研究概要 |
1.In situ RT-PCRによる検討 昨年度に樹立した浸潤性尿路上皮癌の細胞株(UCT-2)を用いて,マウスの膀胱に同所移植し,腫瘍を形成した後に膀胱を摘出した。そしてこの組織をパラフィン包埋し薄切,固定,protease dizetionを行った後にDNase処理を行い,逆転写した。そしてFITC標識したプライマーを用いたnested PCRによりIn situ RT-PCR法を行った。すなわちFITC標識したプライマーを用いたPCRとnested PCRを同時に行いnested PCRで著明に発現の認められたものは,その遺伝子発現の局在を示していると考えられた。この方法により感度・特異性が高められ,しかも簡便に遺伝子発現の局在が解明することができる思われた。この方法によりMT1-MMPとMMP-2についてIn situ RT-PCRを行ったところMMP-2は癌細胞周囲の間質にMT1-MMPは癌細胞の先進部に強く発現していることが示唆された。現在,手術標本を用いた検討を行っている。 2.膀胱癌におけるVEGF isoformおよびPDECGF遺伝子発現の検討 膀胱癌組織におけるVEGFのisoformについて,その遺伝子発現を癌のstage別に分類し検討したところ,VEGF121は浸潤性腫瘍で強く発現していたのに対しVEGF189では表在性腫瘍で有意に強発現しており,isoformによりその意義は異なっていると思われた。PDECGFでは湿潤性腫瘍および異型度の強いものでその発現は有意に強く膀胱癌の進展において重要な役割を果たしていると考えられた。
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