研究概要 |
遠隔転移を有する進行性腎細胞癌に対する治療法として、アポトーシス抑制遺伝子であるbcl-2遺伝子のアンチセンスオリゴヌクレオチド療法の有効性について基礎的に検討した。 1) 各種腎細胞癌細胞培養株および臨床腎細胞癌摘出検体におけるbcl-2の存在と局在をbcl-2抗体を用いた免疫組織染色を施行した.その結果,腎細胞癌細胞培養株6株中3株(50%),臨床腎細胞癌検体113例中54例(47.8%)にbcl-2陽性であった. 2) Bcl-2陽性腎細胞癌細胞培養株であるACHN細胞に対するbcl-2アンチセンスオリゴヌクレオチドの増殖抑制効果を判定するとともに,投与前と投与後のbcl-2を経時的にウエスタンおよびノーザンブロッテイングを用いて測定した。ACHNはbcl-2の添加により増殖は抑制され,かつbcl-2は濃度依存性および経時的に減少した.また,フローサイトメトリーおよびDNA fragmentation assayにてアポトーシスの増加が認められた. 今後は,ヌードマウスに移植したACHNに対するbcl-2アンチセンスの増殖抑制効果について検討する予定である。
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