研究課題/領域番号 |
10671492
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 ゆり子 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (40255435)
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研究分担者 |
村井 勝 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (90101956)
池田 英之 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (40301494)
河上 裕 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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キーワード | 腎癌抗原 / SEREX |
研究概要 |
ヒト腎癌由来細胞株を用いてcDNAライブラリーを作製し、大腸菌内で発現したタンパクに腎癌患者血清を反応させる事により、新しい腎癌抗原候補の取得を試みた。4検体の腎癌患者血清を用いてスクリーニングしたところ、1検体から8、もう1検体から192の陽性クローンを得る事ができ、それは8種類の遺伝子に由来するクローンであった。8遺伝子のうち5遺伝子はリボソームタンパクやアクチン、フェリチンといった増殖や生存に必須な遺伝子であり、高発現していたために血清が反応したのではないかと思われる。その他3遺伝子のうち1つは、ゲノム配列がデータベースに登録されているのみでそれ以外の情報はなかった。もう1つはKIAA1102で、まだ機能は分かっていないがF boxやLIMドメインとの相同配列を持つタンパクであった。また、1検体192クローンの内176クローンを占めていたのが、RhoGAP(PARG1)という細胞の接着に関与しているGタンパクの信号伝達系遺伝子であった。KIAA1102とPARG1の発現タンパクは健常人血清や大腸癌患者血清とはまったく反応が見られず、さらにPARG1タンパクでは、10人中5人の腎癌患者血清との反応が見られたので、腎癌に特異的な新規の遺伝子である可能性が高い。しかし、KIAA1102とRhoGAPの塩基配列からプライマーを作製しRT-PCRを行ったところ、両遺伝子とも正常腎組織でmRNAの発現が見られたので、腎癌で過剰発現しているか、塩基配列が変異を起こしている可能性が考えられる。今後さらに正常腎組織と腎癌でmRNA発現の定量的PCR、塩基配列の差異の有無を調べる必要がある。
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