研究概要 |
臨床的にIL-6と前立腺癌の浸潤、転移との関連性を明らかにするために、未治療前立腺癌患者77例を対象として、血清IL-6をELISA法により測定し、臨床病期、組織学的分化度、PSAとの関連性を検討した。臨床病期A,B,C,Dにおける血清IL-6値はそれぞれ1.2±0.2pg/ml,2.6±0.4pg/ml,2.5±0.5pg/ml,11.8±4.2pg/mlであり、臨床病期の進行とともに増加した。一方、高分化腺癌、中分化腺癌、低分化腺癌におけるIL-6値はそれぞれ4.6±1.7pg/ml,6.4±2.5pg/ml,14.2±10.8pg/mlであり血清IL-6と組織学的所見との間に関連性を認めなかった。血清IL-6が高値(≧7pg/ml)を示す群と低値群(<7pg/ml)に分けそれぞれにおける臨床データを比較すると、両者の間で年齢に有意な差を認めなかった(72.7±2.6歳と73.6±1.0歳)。一方、IL-6高値群における血清PSA,LDH,ALP値はそれぞれ1059.9±587.1ng/ml,234.9±59.9IU/L,790.4±278.8IU/Lであり、IL-6低値群(260.2±90.9ng/ml,167.8±5.4IU/L,324.5±44.0IU/L)に比べて有意に高い値を示した。また、performance status(PS)が1以上の症例における血清IL-6値は11.2±7.2pg/mlであり、PSが0の症例(5.9±2.0pg/ml)に比べて有意高い値を示した。骨転移の広がり(EOD)が0、1〜2,3〜4の症例における血清IL-6の陽性率はそれぞれ4%、23.5%,30.0%であり、EODが増加するに従い血清IL-6の陽性率も上昇した。以上の結果より、血清IL-6はdisease aggressivenessと関連することが示唆された。
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