研究概要 |
In vitroにおいて前立腺癌培養細胞株であるPC3,DU145,JCA1はIL-6を産生した。PC3細胞を各種濃度のIL-6存在下に培養したときの細胞増殖が刺激された。JCA1細胞を抗ヒトIL-6受容体抗体とともに培養したとき細胞増殖活性が抑制された。以上の結果より、IL-6が前立腺癌細胞により産生されることが示され、また、IL-6が前立腺癌細胞の増殖に関与している可能性が示唆された。未治療前立腺癌患者の血清IL-6は臨床病期の進行とともに増加したが、組織学的所見との間に関連性を認めなかった。血清IL-6が高値(≧7pg/ml)を示す群における血清PSA, LDH, ALP値はIL-6低値群(<7pg/ml)に比べて有意に高い値を示した。EODが増加するに従い血清IL-6値も上昇した。血清IL-6値が7pg/ml以上を示す患者ではそれ未満の患者に比べて有意に生存率が不良であり、EODとIL-6値が予後に及ぼす有意な独立因子であることが示された。以上の結果より、前立腺癌患者において血清IL-6はdisease aggressivenessと関連し、有意な予後因子であることが示された。血清tumor necrosis factor(TNF)活性は未治療前立腺癌症例や寛解例に比べ再燃例において明らかに高値を示した。血清TNF活性陽性例におけるpetformance statusは陰性例に比して有,意に悪く,body mass index、血清総蛋白、アルブミン、ならびにヘモグロビン値は陰性例に比べて有意に低い値を示した。一方、PS1以上、BMI21kg/m2以下,アルブミン3.5g/dl以下、あるいはヘモグロビン11g/dl以下を示す症例はそうでない症例と比較してそれぞれ有意に高い血清TNF活性を示した。血清TNF活性陽性例は陰性例に比べ有意に生存率が低下していた。癌悪液質を伴う前立腺癌患者において血清TNF活性が増加しており、癌悪液質におけるTNFの関与が示唆された。
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