研究概要 |
我々はまずヒト腎癌細胞株である769-P,786-O,A-498及びA-704の細胞表面でのCD40の発現を,抗CD40抗体を用いてflow cytometryにて検索した。これらがCD40陽性である事を確認した後,interferon-γによるCD40発現の増強効果を検討したところ,接触6-12時間後に最も強い発現を見た。次に,遺伝子組み替えにより作られた可溶性CD40ligandを用いて,MTTassayにて腎癌細胞株に対する抗腫瘍効果を検索したところ,769-P及び786-Oは可溶性CD40ligandとともに培養する事により,その増殖が抑制された。メカニズムとしては,TUNELassay,電顕等にてapoptosisの存在を確認した。また,この抑制効果はinterferon-γの併用により増強された。我々はこれらの腎癌細胞株5X10^6個を,severe combined immuno-deficiensy(SCID)mouseの腹腔内に移植,コントロール群は第25-30日目で腹腔内播種または肝転移にて死亡したが,これら担癌マウスを可溶性CD40ligand10μgにて治療したところ,有意な生存期間の延長が得られた。更に,in vitro同様interferon-γを併用投与したところ,有意差は得られなかったがマウスの生存期間の延長が見られた。現在これらデータの追試とともに,論文作成中である。
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