研究課題/領域番号 |
10671512
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
太田 博孝 秋田大学, 医学部, 助教授 (90152149)
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研究分担者 |
五十嵐 信一 湖東総合病院, 産婦人科, 科長(研究職)
田中 俊誠 秋田大学, 医学部, 教授 (40002216)
畑沢 淳一 秋田大学, 医学部, 助手 (20302276)
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キーワード | 子宮内膜症 / 子宮腺筋症 / 子宮 / 子宮内膜 / NO(一酸化窒素) / 着床 / NOS(一酸化窒素合成酵素) / 妊孕能 |
研究概要 |
【目的】子宮内膜の妊孕機能に関わる一酸化窒素(NO)の意義について、子宮内膜症を中心に検討した。 【方法】(1) 子宮内膜症の異所性子宮内膜においてeNOSのmRNAの発現をみるため、eNOS RNA probeによるNorthern blotとIn Situ Hybridization(ISH)を行った。 (2) 着床期における高、低NO環境のマウス妊孕能への影響を検討した。高NO群としてNO供与剤であるモルシドミンを、低NO群としてNOS阻害剤であるL-nameを使用した。各薬剤を妊娠2日目より5日目まで1日2回、7回腹腔内に投与した。妊娠第14日目に開腹し、妊娠率、生存胎仔数と吸収胎仔数を観察した。 【結果】(1) ヒト正所性子宮内膜でeNOSmRNAは子宮内膜機能層の腺上皮や被蓋上皮に幅広く分布していた。Northern blotでeNOSmNRAは単一バンドとして認められた。異所性子宮内膜において、eNOSmRNAは月経周期の時期とは関係なく発現していた。 (2) マウスで妊娠率は対照群で100%であり、高NO群、低NO群では用量依存性に低下した。妊娠5日目の子宮組織所見のうち、高NO群(60mg/kg)では子宮内膜脱落膜化の遅延、低NO群(6mg/kg)では脱落膜細胞の機能不全が認められた。 【独創点】(1) 子宮内膜症の異所性内膜でeNOSmRNAは月経時期を通じ発現していることを初めて報告した。 (2) NOは受精卵の着床過程における子宮内膜側の調節因子の一つであることを明らかにした。高濃度のフリーラジカルは子宮内膜微小環境を変化させ、妊孕能を低下させることを証明した。
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