昨年度のまでの研究の結果頚管に発生するインターロイキン-8が頚管熟化の中心的メディエーターであることが明らかとなった。本年度はインターロイキン-8と子宮収縮の関連およびインターロイキン-8を調節する因子について検討を行った。 1)IL-8は頚管熟化のみならず陣痛発来を調節する分娩現象の中心的中間メディエーターであることが今年度の研究で明らかにされた。家兎の実験にてIL-8を予め投与しておくとその後子宮収縮物質を投与するとIL-8前処理しない群と比較すると有意に強い子宮収縮が発生した。IL-8それ自体では子宮収縮作用はないが、子宮収縮増強作用があることが判明した。 2)頚管熟化時に発現するIL-8はヘパリン硫酸存在下ではその熟化作用が増強することを証明した。ヘパリン硫酸とIL-8を同時に家兎に投与すると著しい頚管熟化反応がみられた。ヘパリンはIL-8の主要なモデュレーターであることが見い出された。 3)低分子のヒアルロン酸は頚管熟化を惹起することが動物実験で証明された。この機序として低分子のヒアルロン酸はIL-8などの炎症性サイトカインを誘導することを発見した。 3)頚管のIL-8レセプターは頚管熟化に発現が亢進している。胎児副腎由来のdehydroepiandrosterone sulfate(DHA-S)このIL-8レセプター発現を促進させることを見い出した。
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