研究概要 |
胎児染色体分析、あるいは胎児肺成熟度検査の際に、妊娠各期の羊水を採取し、胎児肺発育に影響を持つことが知られている増殖因子(HGF、KGF.,adrenomedu111n.FGF)を酵素抗体法にて測定した。HGF(n9lml)、KGF(pg/ml)、成熟型adrenomedullin(fg/ml)濃度は、それぞれ妊娠初期:9.70±3.69、50.7±35.2、20.0±11,1中期:31.3±18.5、252±153、63.2±23.0後期:5.45±1.20、124±50.9、39.9+13.4であり、いずれも妊娠中期に高値を示した。なお羊水FGFは多くの検体において測定感度以下であった。以上より人工羊水の開発には、臨床的に使用する妊娠週数を考慮することが重要であることが判明した。 ラット胎仔肺培養系にてHGFの器官形成に対する作用を検討した。ラット胎仔肺細胞は、マトリゲル上で培養すると肺胞構造を形成し、さらに肺胞内にサーファクタント様物質を分泌した。一方、HGFアンチセンスオリゴヌクレオチドを細胞内に導入することによりHGFの発現を抑制すると、ラット胎仔肺形成は阻害された。以上よりHGFはラット胎仔肺形成に必須の物質であることが判明した。今後KGFとadrenomedullinについても同様の検討を行う予定である。
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