研究課題/領域番号 |
10671536
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
徳川 吉弘 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70283786)
|
研究分担者 |
橋本 一昌 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80301266)
木村 正 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90240845)
東 千尋 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20151061)
|
キーワード | プロスタグランディンD合成酵素 / 子宮内膜 / 卵管 / 女性ホルモン |
研究概要 |
プロスタグランディンD合成酵素が受精卵輸送および受精に及ぼす影響を解析するため、まず女性生殖器でのプロスタグランディンD合成酵素(PGDS)の発現部位について検討を加えた。月経周期を有する女性の子宮内膜、卵管および卵巣を用いてノーザンブロット法でPGDSmRNAの発現を調べたところ、子宮内膜および卵管にPGDSmRNAの発現が認められた。次に、免疫組織染色法を用いてPGDSmRNAの発現が認められた子宮内膜および卵管でのPGDSの局在を調べた。子宮では子宮内膜腺上皮にPGDSの局在が認められ、子宮筋層には認められなかった。また、卵管においては卵管上皮にPGDSの存在が確認された。受精の場である卵管さらに着床の場である子宮内膜にPGDSの局在が確認されたことよりPGDSが受精、着床に影響を及ぼしている可能性がある。受精、着床が正常に行われるためには女性ホルモンによる周期的な子宮内膜の変化が必要である。そこで女性ホルモンがPGDSの発現に影響があるかどうかを検討するため、内因性エストロゲンを抑制する作用のあるゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRH agonist)投与中の子宮内膜、卵管でのPGDSの発現について免疫組織染色法を用いて実験を行った。GnRH agonist投与中女性の子宮内膜および卵管ではPGDSの発現は認められなかった。この実験結果よりPGDSの発現にエストロゲンが関与していることが明らかとなった。次いで月経周期では女性血中PGDS濃度に変化があるかどうかをELISA法を用いて検討した。排卵前の女性血中PGDS濃度は0.514±0.069μg/□であり、排卵後の女性血中PGDS濃度は0.540±0.081069μg/□であった。この結果は統計学的には有意であったが臨床的意義があるかどうかは今後の研究課題である。
|