今回SCC抗原-1と非常に相同性の高いSCC抗原-2においても同様のアポトーシス抑制効果があるかを調べた所、SCC抗原-2も抗癌剤や放射線によるアポトーシスを抑制した。UVあるいは抗癌剤SN-38によるアポトーシスにおいてSCC抗原-1の作用部位についてさらに詳細に検討した所、SCC抗原-1の存在はcaspase-2、caspase-8には影響を与えずBcl2の発現を誘導しアポトーシスを抑制している可能性が示唆された。しかしながら放射線によるアポトーシスにおいてはSCC抗原-1の存在によるBcl2の変化は認められなかった。このことは様々なアポトーシスによりシグナルの流れが異なること、およびSCC抗原-1がBcl2に直接働いているのではなく、それよりも上流に働いている可能性を示しているものと思われる。酵母two-hybrid systemを用いてSCC抗原-1及びSCC抗原-2の標的分子を解明するため、昨年度beitとなるSCC抗原-1及びSCC抗原-2のcoding region全体をGAL4 DNA binding domain plasmid(pAS2-1)に入れた物を作成し、本年はこれらと人keratinocyteからつくられたcDNAを含むlibraryとの間の反応を調べた。しかしながらSCC抗原-1及びSCC抗原-2共にcandidateとなるproteaseをこのsystemでひらうことができなかった。これはSCC抗原-1、-2、共に分子量45KDaと大きく核内に移行することが困難なために標的分子との結合が起きなかったと考えられた。そのため現在N末側約100アミノ酸を削ったpAS2-SCCA1delta、pAS2-SCCA2deltaを作成した。今後これらを使い標的分子の検索を施行する予定である。
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