研究概要 |
平成10年度の研究では、卵巣におけるInterleukin-1 β converting Enzyme(ICE)の存在,およびin vivoでの性周期における変動について検討した。また卵巣細胞培養系を用いて,卵巣培養細胞でのICEの時間的変化を検討した。 実験動物として25日齢幼若雌ラットを用い、1)卵巣におけるICE mRNAの存在、2)in vivoでPMSG-hCG投与時の卵巣中のICE mRNAの動態、さらに3)卵巣培養系を確立して、in vitroでの時間経過によるICE mRNAの動態を検討した。mRNAの測定はRNase protection assayを用いて行った。 1)ICE mRNAはラット卵巣に存在した。しかし、そのレベルはICE mRNAが最も多い脾臓の10%程度であった。2)PMSG-hCG投与時、卵巣のICE mRNAはPMSG投与中は変動なっかたが、hCG投与後6時間目から急速に増加しはじめ、24時間目まで上昇が続き(ピークは投与前の152%)、48時間目にはもとのレベルまで減少した。3)卵巣培養系での時間経過によるICE mRNAの動態では、培養開始後24時間目でICE mRNAのピークを認めた。 以上より、Fasシステムによるアポトーシスの活性化の指標となるICEが卵巣に存在すること、また排卵直前から卵巣中で増加し、排卵前後でピークとなり、その後漸減していたことから、ICEが排卵機構と密接に関係することが示唆された。
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