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1998 年度 実績報告書

卵巣癌が産生する血小板由来増殖因子を介した癌細胞-間質細胞間相互作用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10671552
研究機関九州大学

研究代表者

小林 裕明  九州大学, 医学部, 助手 (70260700)

研究分担者 嘉村 敏治  九州大学, 医学部, 助教授 (30152870)
和氣 徳夫  九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
加来 恒寿  九州大学, 医学部, 助手 (60185717)
平川 俊夫  九州大学, 医学部, 助手 (20218770)
加藤 聖子  九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
キーワード卵巣癌 / 血小板由来増殖因子 / 平滑筋型αアクチン / カルポニン / 間質細胞 / 細胞骨格蛋白 / 肝細胞増殖因子 / 癌細胞の浸潤
研究概要

我々がすでに報告したヒト卵巣癌細胞が産出する血小板由来増殖因子(PDGF)が線維芽細胞や血管壁周細胞などの間質細胞における平滑筋型αアクチン(α-smooth muscle actin:α-SMA)の発現低下を引き起こすという現象に基づき、本年度進めてきた研究により以下の2点が明らかとなった。
1) 卵巣腫瘍内溶液を用いたELISAによりPDGFは良性卵巣腫瘍に比し卵巣癌で高頻度に産生されていることがわかった。産生能はと卵巣癌の組織型との間に有意の相関はなかった。
2) α-SMA以外に発現低下が生じる細胞骨格関連蛋白としてアクチン結合蛋白であるカルポニンに着目した。これは分化型平滑筋に特異的に発現し平滑筋の表現型変換の優れたマーカーと考えられているが、3Y1線維芽細胞や血管PericyteはPDGFに反応し、カルポニンの発現が減弱した(Northern blot analysisによる解析)。
以上の結果に基づき、以下の2点を明らかにすることを本年度の目的とする。
1) 腫瘍間質細胞におけるα-SMAやカルポニンを始めとする細胞骨格蛋白の発現低下は、腫瘍浸潤の亢進に関与していないか?具体的には、間質線維芽細胞や血管壁周細胞での発現低下は癌細胞に対する宿主側のバリアーとしてのそれぞれの働きを低下させ、腫瘍細胞が間質や脈管内に浸潤し易い状況を作り出してはいないか?
2) 卵巣癌が産生するPDGFは間質細胞に細胞骨格蛋白発現低下以外の変化も引き起こし、癌の浸潤性発育に有利な状況を作り出してはいないか? 具体的には、PDGFは線維芽細胞に対する肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor:HGF)の産生刺激物質(HGF-inducer)であるが、HGFは別名Scattering Factorと呼ばれる浸潤促進物質である。我々はすでにヒト卵巣癌細胞株の多くがHGFのレセプター(c-met蛋白)を発現していることを確認し、実際in vitro invasion assayでHGFが高頻度に卵巣癌細胞の浸潤能を亢進させたことを報告した。そこで今回検証すべき疑問として、卵巣癌よりのPDGF産生→間質線維芽細胞のHGF産生→卵巣癌でのHGFレセプターを介したシグナル伝達→卵巣癌細胞の浸潤亢進というクローズド・ループ機構が存在しないか?
以上の疑問点を解明する過程を通じて、卵巣癌と宿主間質とのcell-cell interactionを記述するのが本研究の最終目標である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Kaku T,Kobayashi H, et al.: "Angiogenesis in adenocarcinoma of the uterine cervix." Cancer. 83. 1384-1390 (1998)

  • [文献書誌] Vogt V,Kobayashi H, et al.: "Overexpression of Lerk-5/Eplg5 messenger RNA: A novel marker for increased tumorigenicity and metastatic potential in human malignant melanomas." Clinical Cancer Research. 4. 791-797 (1998)

  • [文献書誌] Mitsumoto M,Kobayashi H, et al.: "Emergence of higher levels of invasive and metastatic properties in the drug resistant cancer cell lines after the repeated administration of cisplatin in tumor-bearing mice." Journal of Cancer Research and Clinical Oncology. 124. 607-614 (1998)

  • [文献書誌] Kaku T,Kobayashi H, et al.: "Endometrial carcinoma associated with hyperplasia-Immunohistochemical study of angiogenesis and p53 expression" Gynecologic Oncology. 72. 51-55 (1999)

  • [文献書誌] Kamura T,Kobayashi H, et al.: "Comparison of p53 and CD44 variant6 expression between paired primary and recurrent ovarian cancer-An Immunohistochemical Analysis." Oncology Report. 6. 97-101 (1999)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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