研究概要 |
【1】進行子宮頚癌に対するConcurrent radiochemotherapyの局所治療効果に関する検討 【目的】進行子宮頚癌に対して化学療法と放射線療法を同時に併用するconcurrent radiochemotherapy(CRC)が有効であることが証明されつつあるが、投与薬剤や投与量、投与方法については未だ確立されていない。今回、これまでわれわれが行ってきたCRCの方法とその治療成績について検討した。 【方法】(1)期間:'97.6〜'99.4。(2)対象:70歳未満、子宮頚癌IIb〜IVa期、扁平上皮癌、頚部の腫瘍径が4cm以上の26例(IIb期:3、IIIb期:20、IVa期:3)。平均年齢:52歳。頚部腫瘍径の平均:6.8cm。平均観察期間:12.7ヶ月。(3)方法1)放射線療法:全骨盤照射+高線量率腔内照射(WP,17例)。傍大動脈リンパ節(PAN)の腫大を認める例にはL1までの拡大照射(EF,9例)。平均A点線量:62Gy、平均B点線量:55Gy。2)化学療法:CDDP20mg/m^2を5日間静注、3週毎に施行。照射中の平均CDDP投与量:263mg/m^2。【成績】(1)治療完遂率/休止率 WP:94/12%、EF:100/22%。(2)副作用1)白血球減少 (Grade3/4)WP:35/24%、EF:75/25%。2)血小板減少 WP:6/24%、EF:13/0%。敗血症、頭蓋内出血などの重篤な合併症は認めていない。(3)治療成績 PAN(-)の推定2年生存率/無病生存率:74/62%、部位別の再発率(局所/遠隔):24/18%。PAN(+)の推定1年生存率/無病生存率71/40%、部位別の再発率:33/33%。【結論】症例数、観察期間とも未だ不十分であるが、これまでの成績からは局所再発率の改善、更にPAN腫大のない症例では生存率の改善が期待できる。治療中の副作用は骨髄抑制とくに白血球減少の危険性が高いが、これまでのところではtolerableであると判断される。 【2】子宮頚癌放射線治療症例におけるHPV DNA検出の意義 [目的]子宮頚癌放射線治療症例の治療前・中・後におけるHPV DNA検出と治療効果との相関を検討する. [成績](1)対象54例において,で放治中にHPV DNAが陰性となったものは23例(A群),放治中には陽性持続し治療後6ヶ月以内に陰性となったものは13例(B群),治療中,治療後を通じて陽性のままであったものは18例(C群)であった.(2)治療終了時の組織検査について,A群,B群では全例に,そしてC群では18例中16例までにviableな癌細胞は認められなかった.(3)局所再発は,A群には1例もなく,B群では1例のみであったのに対し,C群では18例中11例であり,C群はA群,B群とと比較して有意に高い再発率であった(p<0.01).
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