研究概要 |
【1】 子宮頚癌放射線治療例におけるHPV DNA検出の意義 [目的]子宮頚癌放射線治療例の治療前・中・後における原発巣HPV DNAの有無と治療効果との相関を検討する。[方法]対象64例においてHPV DNAの検出はL1 consensus primerを用い、型判定は各型に特異的なprimerを用いてPCRを施行した。[成績](1)対象64例において放治中にHPV DNAが陰性となったものは23例(A群)、放治中にはHPV DNA陽性持続、治療後6ヶ月以内に陰性化したもの24例(B群)、治療中・後を通じてHPV DNA陽性持続したものは21例(C群)であった。(2)治療終了時の組織検査について、A群、B群では全例に、そして、C群では21例中17例までにviableな癌細胞は認められなかった。(3)局所再発はA群には1例もなく、B群では1例のみであったのに対し、C群では21例中14例であり、C群はA群、B群と比較して有意に高い再発率であった(p<0.01)。 【2】 子宮頚癌におけるHPV型別と放射線治療効果との関連性 [目的]進行子宮頚癌の放射線感受性を予測することは難しく、まだ、確立した方法はない。そこで、頚癌原発巣のHPV型を分析し、放射線治療効果との関連性を検討した。[成績]HPV型別診断の内訳は、67例中16型26例(38.8%)、58型8例(11.9%)、33,56型各6例(9.0%)、31,52型各5例(7.5%)、18,35型各3例(4.5%)、53,59,66,73,82型各1例(1.5%)であった。進行期IIIb期以上で16,18型の死亡率は66.7%(12/18)、16,18型以外の型の死亡率は全体で39.1%(9/23)であり、16,18型の予後が不良の傾向にあったが有意差はなかった。しかし、死亡例の生存期間は16,18型で17.2±9.1、16,18型以外で28.9±16.6ヶ月と前者が有意に短かった(P<0.05)。
|