研究概要 |
〈目的〉妊娠中期のラット子宮筋を用いて、NO donorによる子宮収縮抑制反応と子宮筋組織中のNO代謝産物を同時に測定し、比較検討した。〈方法〉Krebs液に摘出子宮筋標本を懸垂し、その標本にNO濃度測定用のプローベを挿入し、NO(NO2,NO3,NOx)濃度を収縮反応と同時に経時的に測定した。〈成績〉DEA/NO,SNP及NTG投与による自然収縮の抑制率は各々は74.5±5.0%42.2±5.3%,38.7±6.2%とDEA/NOが有意に強く抑制した。子宮筋のNO濃度に関しては、3種のNO donor共に時間依存性に(NO2,NO3,NOx)濃度を上昇させた。DEA/NO投与前のNO濃度は各々1.64±0.53,4.23±1.5,5.8±1.8pmol/2μl/min(n=5)であったのが,投与後30分では各々34倍、1.5倍、11倍に上昇した。SNP投与後30分では各々2.4倍、2.3倍、2.3倍と上昇、NTGでは各々10倍、1倍、3.4倍に上昇した。DEA/NOが収縮抑制率と同様にSNP及NTGに比し有意にNO濃度を増加させた。〈結論〉(1)妊娠子宮筋において種々のNO donorのNOx産生量が異なる。つまり、NO放出半減期が薬物により異なると考えられた。(2)NOx産生量が高いと子宮収縮を強く抑制するので、子宮収縮抑制反応はNOx産生量に依存する。(3)DEA/NOが子宮筋において、NOx産生量が高く、収縮抑制作用が強いので、切迫早産症例に最も有用である可能性が示された。
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