GnRHニューロンにおけるGalaninの役割に関する研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10671562
• 研究機関: 横浜市立大学
• 研究代表者: 多賀 理吉 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (00107682)
• 研究分担者: 山賀 明弘 横浜市立大学, 付属病院, 助手 (70295484) ; 茂田 博行 横浜市立大学, 付属病院, 講師 (20275051) ; 高橋 恒男 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60179497)
• キーワード: GmRH / GmRHニューロン / Galanin

研究概要

GnRHは視床下部から分泌され、下垂体ゴナドトロピン分泌を介して卵巣機能を調節している。下垂体からのゴナドトロピン分泌にはGnRHがパルス状に分泌されることが必要である。本研究では、GnRHパルス状分泌が開始する思春期に視床下部において発現が増加する Galaninに注目し、Galaninが視床下部からのGnRH分泌調節にautocrine機序で関与しているか否かを検討した.
本年度はまず、第一段階として、GnRH分泌細胞であるGT1細胞を用いてGalaninおよびその受容体の存在をRT-PCR法により検討した。Galaninおよびその受容体の既知の2つのサブタイプ(type1およびtype2)のcDNAの塩基配列を鋳型にしてprimerを作成し、GT1細胞より抽出したRNAを用いてRT-PCRを施行した。得られたPCR産物はアガロースゲル電気泳動にて解析した。
その結果、GalaninおよびGalanin受容体type2ではそれぞれ規定された403bpおよび357bpのPCR産物が認められたが、Galanin受容体type1にはPCR産物が認められなかった。さらに、発現の認められた2つのPCR産物については、sequencingによりその塩基配列を確認した。
これらの結果より、GnRH分泌細胞であるGT1細胞ではGalaninおよびGalanin受容体type2が発現しており、GalaninがGnRHの分泌調節にautocrine機序で関与している可能性が示唆された。
次年度は、第2段階としてGalaninおよびGalanin受容体の拮抗剤をGT1細胞の培養液中に投与後、培養液中に分泌されるGnRHをRIA法で測定することにより、GalaninのGnRH分泌におよぼす影響を検討する予定である。

研究成果

• [文献書誌] Taga M. Minaguchi H: "Changes in C-terminal cross-linhiny domain of type I collagen in urine a new marker of lone resrptim duiy and after GnRH a administrater" Eur.J.Endocrinol. 137. 167-171 (1997)
• [文献書誌] 多賀 理吉: "GnRH受容体" 生体の科学. 48. 445-447 (1997)
• [文献書誌] 多賀 理吉,アーネスト アママ: "ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストの臨床応用" 医学のあゆみ. 特集号. 229-230 (1997)
• [文献書誌] Ikeda M.Taga M Kurogi k. Minaguchi H: "Gene expression of GnRH.But not its receptor.in Human endometrium and decidua" Mol.Cell.Endocrinol.135. 165-168 (1997)
• [文献書誌] Amama EA.Taga M Minaguchi H: "The effect of GnRH agonist on type I collagen C-telopeptide and N-telopeptide:the predictive value of liochemical morkers of bone turnover" J Clin Endocrinol Metal. 83. 333-338 (1998)
• [文献書誌] 多賀 理吉: "エストロケンの増減に対するCross Lapsの変動 GnRHアゴニスト療法とホルモン補充療法での検討" 新葉と臨床. 47. 704-710 (1998)
• [文献書誌] 多賀 理吉: "改訂版プリンシプル産科婦人科学2" メディカルビュー社, 963 (1998)
• [文献書誌] 多賀 理吉: "New 産婦人科学(内分泌産患)" 南江堂, 627 (1997)