研究概要 |
GnRHは視床下部から分泌され、下垂体ゴナドトロピン分泌を介して卵巣機能を調節している。下垂体からのゴナドトロピン分泌にはGnRHがパルス状に分泌されることが必要である。本研究では、GnRHパルス状分泌が開始する思春期に視床下部において発現が増加するGalaninに注目し、Galaninが視床下部からのGnRH分泌調節にautocrine機序で関与しているか否かを検討した. 昨年度はまず、第一段階として、GnRH分泌細胞であるGT1細胞を用いてGalaninおよびその受容体の存在をRT-PCR法により検討した。Galaninおよびその受容体の既知の2つのサブタイプ(type1およびtype2)のcDNAの塩基配列を鋳型にしてprimerを作成し、GT1細胞より抽出したRNAを用いてRT-PCRを施行した。得られたPCR産物はアガロースゲル電気泳動にて解析した。 その結果、GalaninおよびGalanin受容体type2ではそれぞれ規定された403bpおよび357bpのPCR産物が認められたが、Galanin受容体type1にはPCR産物が認められなかった。さらに、発現の認められた2つのPCR産物については、sequencingによりその塩基配列を確認した。 今年度は、新たにクローニングされたgalanin受容体type3のGT1細胞における発現をRT-PCRにより検討した.その結果,規定された362bpのPCR産物が認められ,sequencingによりその塩基配列を確認した。 以上の結果より、GnRH分泌細胞であるGT1細胞ではGalaninおよびGalanin受容体type2およびtype3が発現しており、GalaninがGnRHの分泌調節にautocrine機序で関与している可能性が示唆された。
|