(女性)ホルモン補充療法(HRT)において、卵胞ホルモンに併用する黄体ホルモンについてよりよい投与法が望まれていた。今回我々はプロゲステロン(P)膣錠を作成し、投与・検討を行った。 A : 以下の3種類の薬剤を作成した。H-15 : P注50mgとホスコH15 1.2gより。E-85 : 同注50mgとウイテプゾールE-85 : 1.32gより。RE : P試薬50mgとホスコH-15 : 1.2gより各々作成した。 B : 単回投与試験 : 子宮摘出予定の患者13名に対しH-15(2名)、E-85(7名)、RE(4名)、各々1錠を子宮摘出前に挿入し、投与前、および投与後の血清中P濃度、および摘出子宮の筋層内、内膜内P濃度を測定した。血清中P濃度は、2、あるいは4時間後に最高値を示した。筋層内、内膜内濃度は各々の患者における最高血中濃度の0.67〜5.93倍、0.53〜17.5(平均5.9)培であった。 C.頻回投与 : 17名においてHRTに際してP膣錠を投与した(周期投与 : 16名、68周期、連続投与 : 1名)。H-15(4名、4周期)は柔らかすぎ、使用に難があった。E-85(12名、25周期)は十分な硬さを有していた。RE(10名、45周期)の使用感は好評であった。周期投与症例において、3周期において出血がみられず、また膣錠終了前に出血が開始したものが25周期においてみられた。出血の持続は4±1日で、出血量は中等度のものが多かった。子宮内膜への影響を経膣超音波、子宮内膜組織検査おいて行ったところ、概ね黄体ホルモンの影響が示唆された。副作用についてみると、帯下感、外陰部不快感はH-15において多く、E-85においても一部みられたが、REにおいては少なかった。うつなどの全身症状はMPAに少なく、重篤な副作用もなかった。以上よりプロゲステロン膣錠は実地においても有用であると考えられた。今後膣錠のプロゲステロン含有量を低下させ、血中にほとんど出現しないで子宮内膜にのみ移行し十分に働きかける膣錠を作成していきたい。
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