研究概要 |
HELLP症候群は妊娠末期突然発症し,DICを合併しやすいため,母児救命が困難であると考えられてきた。しかしながら,私ども研究により以下の事が明らかとなった。 1) 妊娠中毒症婦人の平均血小板数は徐々に減少するが非妊娠中毒症婦人のそれは有意の変化を示さない。しかしこれは平均で減少しないの意であって3〜4%の婦人は徐々に減少し37週時点で<150×10^9/Lとなる。これら婦人は血小板数が減少しなかった婦人に比し約7倍,肝機能異常を合併しやすい。また肝機能異常を合併した婦人の血液検査値はHELLP症候群のそれと酷似しており,これらは血小板数の低下がHELLP症候群発症に先行しておこっていることを意味している。即ち,血小板数をモニターすることによりHELLP症候群の発症の予知が可能である。 2) 双胎妊娠では妊娠中毒症の有無にかかわらず,平均血小板数ならびにアンチトロンビンIII活性が徐々に減少する。これらの減少が著しかった婦人はHELLP症候群になりやすい。
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