研究概要 |
がん細胞の膜表面に発現される糖鎖は転移に関与し、また糖鎖の発現は糖転移酵素によって調節されていることが明らかになっている。また、糖鎖の発現と癌の予後に関連があることが大腸癌などにおいて報告されている。我々は、これまでに、子宮体癌に発現される細胞膜糖鎖や糖転移酵素の発現と臨床病態に関する解析を行った。その結果、子宮体癌では1型糖鎖の一つであるLewis^b型糖鎖の発現症例は非発現症例に比べ5年生存率が高いことを明らかにした。 そこで、本研究では子宮体癌の細胞特性についてLewis^b型糖鎖あるいはGTの発現との関連を検討することを目的とした。子宮体癌のGTに関しては、センスcDNAを導入したGT高発現株では、mockに比しin vitroでの細胞増殖能の亢進、マトリゲルへの浸潤細胞数の増加、細胞外基質への接着能の亢進が認められた。in vitroの検索としては、ヌードマウスの異種移植能について、GT高発現株はmockに比し異種移植能は亢進する傾向が見られた。一方、GT低発現株はmockに比べin vitroでの細胞増殖能は低下した。以上より、β1,4ガラクトース転移酵素は子宮体癌細胞の特性に関与している可能性が示唆された。
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