研究概要 |
子宮平滑筋腫は産婦人科領域において非常に頻度の高い疾患であるが,その原因についてはいまだ明らかになっていないのが現状である.近年,脂肪腫・唾液腺腫をはじめとする間葉系良性腫瘍において,第12番染色体長腕(12q14-q15)上の遺伝子である,high mobility group(HMG)protein gene:HMGI-Cに関わる再構成・融合異常が生じていることが報告された.今回我々は,間葉系良性腫瘍である子宮平滑筋腫13症例を用いて,HMGI-C遺伝子に関わる再構成・融合異常について解析したので報告する.手術により摘出した子宮平滑筋腫13症例を検体とし,mRNAを抽出したあと逆転写酵素によりcDNAを合成した.次にこのcDNAをtempleteとして3ユ-RACEを行い,HMGI-C遺伝子に関わる融合遺伝子の有無につき検討し,その構造を解析した.今回解析した13症例中6例(46%)においてHMGI-C遺伝子の再構成をともなう融合遺伝子を確認した.これら6症例の構造解析から,HMGI-C遺伝子の3ユ側に結合した未知のcDNAを3種類同定した.今回解析した子宮平滑筋腫の約半数においてHMGI-C遺伝子に関わる遺伝子再構成・融合異常が確認されたことは,これまで発生原因の不明であった子宮平滑筋腫の病態生理を解明する上での重要な手がかりになると思われた.
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