研究課題/領域番号 |
10671574
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
牧野田 知 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80165688)
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研究分担者 |
金子 利朗 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40224604)
藤井 亮太 金沢医科大学, 医学部, 助手 (30298351)
富沢 英樹 金沢医科大学, 医学部, 助手 (40319059)
井浦 俊彦 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40202840)
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キーワード | 排卵(ovulation) / 顆粒球コロニー増殖因子(Granulocyte colony-stimulating factor:G-CSF) / サイトカイン(cytokine) / mRNA / 妊娠 / 予後 |
研究概要 |
本年度は前年度の排卵時におけるG-CSFの動態に関する研究に加えて、妊娠初期のG-CSF解析による妊娠予後予測法に関しても検討した。 1.ヒト正常月経周期における卵胞壁組織でのG-CSFmRNA発現の変化 前年度の我々の研究によって排卵直前顆粒膜細胞にG-CSFmRNAが発現することが明らかにされたが、本年はさらにその発現量を非卵巣病変のため開腹手術を行った患者のうち充分な説明のもとに同意の得られた患者(n=12)を対象として、Real-time quantitative RT-PCR法により定量解析した。その結果、卵胞壁組織におけるG-CSFmRNAの相対的発現量は卵胞前期16.01±0.79(M±SE)、卵胞後期137.59±18.45、黄体期5.83±1.60であり、卵胞後期は卵胞前期に比べて8.59倍、黄体期に対し23.60倍と著しく有意(p<0.001)に高かった。G-CSFmRNAの発現が排卵直前の卵胞後期に著しい高値を示すことから、G-CSFが卵巣局所における排卵機構に深く関与していることがさらに強く明らかにされた。 2.妊娠初期予後予測法としての母体血清G-CSF値についての検討 無月経を主訴に当科を受診し胎児心拍動を検出できないGSを認めた女性28名をインフォームド・コンセントをえた上で対象として、初診時に母体血清を採取しG-CSF値を測定し、その後の妊娠経過から正常群(n=21)と流産群(n=6)に分類した。正常群の初診時母体血清G-CSF値は51.7±4.1pg/mlで25〜105の間に分散していたのに対し、流産群では27.8±6.6で有意(p<0.01)に正常群より低値であり、分散範囲も11〜55であった。正常群のM-1.5S.D.である23.7以下ではすべての対象が流産に終わり、妊娠初期の予後判定にG-CSFが有用であることが明らかにされた。 以上の結果から、排卵や妊娠維持にG-CSFが重要な役割をしていることが明らかにされ、今後は婦人科領域を含め産科婦人科領域におけるG-CSFの動態を明らかにしていくつもりである。
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