研究課題/領域番号 |
10671575
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
植田 實 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40084892)
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研究分担者 |
岡本 吉明 大阪医科大学, 医学部, 講師 (00224080)
植田 政嗣 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50223467)
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キーワード | 腹膜原発漿液性腺癌 / 卵巣癌 / アポトーシス / 腫瘍内血管新生 / 腹膜転移 |
研究概要 |
(目的)本研究の1年目にあたる平成10年度は、卵巣癌組織における血管新生因子でplatelet-derived endothelial cell growth factor(PD-ECGF)と同一とされるthymidine phosphorylase(dThdPase)の発現、腫瘍内微小血管密度(intratumoral microvessel density;IMVD)およびアポトーシス陽性細胞の発現を検討し、臨床病理学的因子や予後と対比した。(方法)当科で治療した卵巣癌54例(I期14、II期1、III期37、IV期2;漿液癌41、類内膜癌4、粘液癌6、明細胞癌3)の手術摘出標本を用いた。摘出腫瘍から作成したパラフィン切片に対し抗CD34モノクローナル抗体、抗dThdPase抗体を用いたABC染色で、Apoptotic Index(AI)はDNA nick end labelling法で腫瘍細胞1000個当たりの陽性細胞数で評価した。(成績)IMVD(mean±SE)は、I期で61.74±24.06、III期以上は74.0±24.71と進行例で高かった。また腹腔内転移巣(5cm以上)の有無で検索すると、原発巣のIMVDは転移有群83.6±7.99、転移無群64.7±4.16であった(p<0.05)。抗dThdPase抗体の強陽性例ではIMVDが高い傾向にあった(p<0.01)。AIは、FIGO進行期では差はなく、組織型別にも差はなかった。しかし、IMVDと相関していた。(結論)卵巣癌においてもdThdPaseは腫瘍内血管新生に関与し、卵巣癌の発育・進展において、腫瘍内血管新生は腹腔内播種転移に、アポトーシスの発現は卵巣癌の増殖に関与している可能性が示唆された。このことは、日本産婦人科学会及び日本癌治療学会で発表した。今後他の血管新生因子も加え、さらに腹膜原発漿液性腺癌についても同様に検討する予定である。
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