1 ウイスター系妊娠ラットより各妊娠時期(妊娠15日〜21日)の子宮を採取し総脂質を抽出後、血小板活性化因子の精製・測定を行ったところ、妊娠経過とともに血小板活性化因子は有意に増加し、妊娠21日で最大(妊娠15日の約3倍)となった。 2 上記組織よりRNAを抽出し、ノーザンブロッテイングにて血小板活性化因子受容体を検索したところ妊娠子宮において受容体のmRNAの発現を認めた。しかし、各妊娠時期での受容体発現には有意な差を認めなかった。 3 上記組織より超遠心法にて細胞質画分を採取し、血小板活性化因子不活化代謝酵素活性を測定したところ、酵素活性は血小板活性化因子の動態とは異なり妊娠経過とともに有意に減少した(妊娠21日においては、妊娠15日の約1/2)。また、母獣ラット血漿中の血小板活性化因子不活化代謝酵素活性も妊娠経過とともに有意に減弱した。 4 性ステロイドホルモンのエストロゲンを母獣ラットに妊娠17日より連日投与すると、母獣ラットは早産した(エストロゲン群平均妊娠日数:20.5日、コントロール群平均妊娠日数:22.4日)。エストロゲン投与群とコントロール群を比較すると、子宮内の血小板活性化因子はエストロゲン群で有意に増加していた。一方、子宮内ならびに母獣ラット血漿中の血小板活性化因子不活化代謝酵素は有意に減少していた。特に、母獣ラット血漿中の酵素活性は、コントロール群の約1/10と著明に減少していた。
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