研究概要 |
本研究の目的は、以下の3点であった。 1) 急速水平加速度刺激に対する体平衡評価法の確立 2) 急速水平加速度刺激時の姿勢制御に関する知覚系の相互関係の解明 3) 刺激量と動揺の増大、転倒などの平衡障害の各段階との関係の検討 以上の目的達成のために、現有機器と今回設備される機器とを組み合わせて、刺激方法および評価方法を確立した。刺激のために、動的体平衡刺激装置(新潟通信機)を作成した。これを用いて、様々な水平移動刺激を行うことが可能となった。この刺激様式は、重心動揺計を乗せた床面を以下の条件で動かす。 ・ 刺激速度:50mm/s,100mm/s,200mm/s,300mm/s ・ 移動距離:10mm,50mm,100mm,150mm ・ 加速時間(定速に達するまでの時間):50ms,200ms 上記の3条件の組み合わせにより、32種類の刺激が可能となった。これにより、ほとんど身体の動きのない刺激から、頭部水平加速度運動による身体反応がみれる刺激まで、様々な大きさの刺激が可能となった。また、身体動揺の評価方法であるが、Frame-Diasシステムによる光学的計測方法を実用化した。この方法により、コンピュータ仕様のビデオ画像解析を行い、身体各関節の角度や位置の変化量解析、速度・角速度解析、加速度・角加速度解析が可能となった。今後、これと足圧中心位置計測を併用していく予定である。 以上述べたごとく、平成10年度は、目的1)に関する刺激と解析方法の確立をほぼ達成した。今後は本システムを用いて、2)の姿勢制御に関する知覚系の相互作用の問題や、3)の平衡障害の程度と耐用刺激量の関連について、健康被検者、高齢者、体平衡障害患者を対象に分析していく予定である。
|