研究課題/領域番号 |
10671596
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
兵頭 政光 愛媛大学, 医学部, 助教授 (00181123)
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研究分担者 |
河北 誠二 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (60304606)
佐藤 英光 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (30187223)
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キーワード | 咽頭食道透視 / 咽頭クリアランス / 誤嚥 / 加齢 / 嚥下障害 |
研究概要 |
本年度は咽頭食道透視検査により、嚥下機能の加齢変化をみた。 対象は咽喉頭異常感症または嚥下困難感に対して咽頭食道透視検査を行った症例のうち、視診所見を含めて咽喉頭に器質的異常を認めない113例とした。症例は40歳未満の若年群16例、40歳以上65歳未満の壮年群48例、65歳以上の加齢群39例に分類した。なお造影剤には150%硫酸バリウムを用い、1回の嚥下量は10mlとした。透視所見はVTR録画し、以下の解析を行なった。 (1)咽頭クリアランス能 硫酸バリウムを嚥下後に3回の空嚥下を行わせ、バルサルバ下に咽頭二重造影法を行い、中下咽頭のバリウム残存の程度をA'(+++)、A(++)、B(+)、C(-)の4型に分類した。 若年群ではA'型が13%、A型が31%、B型が37%、C型が19%であった。壮年群ではそれぞれ15%、31%、53%、21%であり、加齢群では28%、21%、48%、3%であった。A'およびA型を合わせたクリアランス能低下例の頻度は各群間で有意差を認めなかったが、加齢群では若年群および壮年群に比してC型の頻度が少なくA'型の頻度が明らかに高く、高齢者においてはクリアランス能の低下が明らかであった。 (2)咽頭流入および誤嚥 咽頭食道透視のVTR画像をコマ送りで再生し、咽頭流入および誤嚥の有無を症例ごとに判定した。 若年群では咽頭流入が13%に、誤嚥が6%に見られた。壮年群ではそれぞれ15%、0%であり、加齢群では28%、15%であった。加齢群では咽頭流入および誤嚥ともに他の群に比して高頻度であった。 高齢者の嚥下ではクリアランス能の低下、咽頭流入、誤嚥などが認められ、潜在的な嚥下障害を含めると加齢による嚥下機能の低下がおこることが確認された。その原因としては、潤滑剤としての唾液分泌能低下、食塊の駆動力である咽頭収縮力の低下、食道入口部開大時間の短縮やタイミングのずれなどが考えられる。
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