耳鼻噌喉科・頭頸部外科領域は局所所見が診断に重視されるので、遠隔医療の効果が期待される領域である。今回は、実際の医療現場に含わせ普及型の遠隔医療システムを構築するため、以下の機器を用い、医療用カンファランスの実証実験を行った。パーソナルコンピュータに国際標準H.320準拠のNTT社製マルチメディアテレビ会議システム、フェニックスVer1.5を搭載し、横浜市大附属病院と横浜市大附属浦舟病院に設置した。通信回線としてISDN公衆回線を1回線2通話分(128Kbits/s)使い、両病院間を接続した。 1症例のカンファランス、研究会プレゼンテーションなど各種画像を予めスキャナーで取り込み、静止画共有機能を用い両施設問で討議を行った。この方法では、画質は良好であったが、画像の送信に時間がかかることが問題となった。ビデオカメラで画像を直接撮影し、動画ウィンドウで送信する方法は、時間の遅れがなく、両施設間での画像供覧が可能で、カメラの固定などを工夫すれば、実運用が可能であった。しかし、参加者が多人数対多人数の場合は、プロジェクター、無指向性マイクなどの使用により、運用上の工夫をする必要のあることが判明した。 2インターネットテレビ会議、ISDN3回線使用テレビ会議の試用 引続き、より精度め高いテレビ会議を実現するため、30フレ-ム/秒の画像表示が可能な上記システムの比較検討を行なった。前者ではインターネットへの接続コンセントがある場所では、容易に会議を行なう'ことが可能で、接続料金も無料だが、接続のための帯域を安定して得ることが、現状では困難であった。また後者はISDN3回線を予め敷設した場所のみで接続可能で、接続料金も発生するが、画像は安定して良好なものが得られ、今後、どちらを選択していくかは、状況に応じて検討を加えることとなった。
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