研究課題/領域番号 |
10671607
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山根 英雄 大阪市立大学, 医学部, 教授 (60145787)
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研究分担者 |
久保 武志 大阪市立大学, 医学部, 講師 (60271194)
井口 広義 大阪市立大学, 医学部, 講師 (70271195)
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キーワード | 一酸化窒素 / アミノ配糖体 / グルタメート / 細胞死 / アポトーシス / ネクローシス / 内耳 / 感覚細胞 |
研究概要 |
内耳に対するN0毒性の関与をみるために、モルモット内耳正円窓に100mMのグルタメートを留置し、6、24、72時間後に内耳での一酸化窒素合成酵素 (NOS)の誘導をNADPHダイホラーゼを用いて検討した。その結果、NOSは蝸牛外有毛細胞下部の神経接合部に時間経過と共に強く誘導されるが72時間後にはほとんど認められなかった。一方、外有毛細胞は時間経過と共に細胞死が誘導され、グルタメート投与72時間後には100%の細胞死が確認された、内有毛細胞には細胞下部のシナプスの膨化が認められたが、内有毛細胞自身には変化は認められなかった。尚、この外有毛細胞の細胞死はネクローシスの様相を呈した。 モルモットにストレプトマイシンを投与したところ、前庭感覚上皮にNOSの誘導が確認された。このNOSの誘導は時間、および濃度依存性に増えており、それとともに感覚細胞死が確認された。この細胞死はネクローシスではなく、アポトーシスの様相であった。NOS合成酵素の抑制剤を投与したところ、これら感覚細胞のアポトーシスは抑制された。これらの事実はNOは、条件の違いにより同じ感覚細胞に対し、ネクローシスあるいはアポトーシスの両細胞死を誘導しうることが判明した。 NOによる内耳感覚細胞の細胞死を考えるとき、これらの事実を考慮に入れることが必要である.どのような機転でアポトーシスおよびネクローシスが制御されているかを知ることが今後の検討課題である。
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