研究概要 |
1. 常染色体優性非症候群性感音難聴の1家系の原因遺伝子が,分子モーター蛋白の1つであるミオシンVIIAをコードする遺伝子であることを我々が同定したことにより,他の常染色体優性非症候群性感音難聴家系や,原因不明の感音難聴症例のなかには,ミオシンVIIA遺伝子変異が難聴の原因となっている症例が存在する可能性が推定された。そこで常染色体優性非症候群性感音難聴家系8家系について,ミオシンVIIA遺伝子変異のスクリーニングを行ったが,今回の8家系には変異は見出されなかった。この8家系については,他の既知の難聴遺伝子について変異の有無を検索中である。 2. 感音難聴を呈する前庭水管拡大症候群5例を対象に,Pendred症候群の原因遺伝子であるPDS遺伝子の変異スクリーニングを行い,4例に変異を認めた。このうち3例は既知の変異であったが,エクソン4に同定された点変異は今までに報告のない変異で,正常者50人のgenomic DNAには認められないことから,前庭水管拡大症候群の新しい原因遺伝子変異と考えられる。
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