研究課題/領域番号 |
10671611
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小林 範子 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30195797)
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研究分担者 |
平山 方俊 北里大学, 医学部, 講師 (00208860)
廣瀬 肇 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80010031)
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キーワード | 音声障害 / 痙攣性発声障害 / 音声訓練 / 喉頭調節 / 聴覚印象的評価 / 空気力学的検査 |
研究概要 |
1. 平成6年から音声訓練を実施してきた20名のSPD(痙攣性発声障害)患者の治療経過を整理し、実施した訓練法の種類を抽出した。SPD患者に対する訓練の目的は声帯の過緊張の緩和であるが、訓練手法としては、(1)直接的な緊張低下の方法(喉頭の過緊張が起こりにくい喉頭調節を行ない適切な発声を促す。例として「あくび・ため息法」や「気息性発声」、「吸気発声」、「裏声発声」などがある。)と、(2)間接的な緊張低下の方法(過緊張が起こりやすい発話条件を避ける。例として「発話速度の低下」、「音量の低下」などがある。)の2種類の方法が適用された。 2. ほぼ全例において音声の改善が認められたが、改善の程度には個人差があった。重症例でも完治する場合があることが判明した。 3. 上記の訓練方法のうち、直接的な方法の有効性は、その種類については患者によって個人差があったが、気息性発声と吸気発声の有効性が多くの患者において高かった。裏声発声は、即時的な音声改善はもたらすが、日常生活への般化が困難な例が多かった。 4. 間接的な方法は、直接的な方法に併用することで過緊張発声の軽減に大きく貢献するが、単独では有効性が認められなかった。 5. 訓練法を適用した際の音声についての評価は、聴覚印象的評価を中心として空気力学的検査を併用している。前者は音声の即時変化と継時的変化が会話場面の音声評価として使用できるが、後者の場合は、SPDの訓練で最も困難とされるダイナミックな発話の際の測定が困難なため、評価の妥当性と必要性の検討を行なう必要があると考える。 6. 現在までに基礎的データの収集が終了しており、次年度はその詳細な解析を行ない、訓練の成功要素などを検討する予定である。
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