研究概要 |
双極子追跡法は脳機能を優れた時間分解能、空間分解能で解析することが可能である。また非侵襲的に検討することができるため、繰り返し施行することが容易であり、今後広く臨床応用されることが期待される。 頭頂部緩反応SVR,N1成分につき刺激音周波数を変化させて双極子の反応動態につき検討を行った。双極子の解剖学的位置をより詳細に検討するためMRI画像上に重ねた。双極子は、刺激反対側側頭回に近似されるものと視床近傍に近似されるものが認められた。側頭回に近似された例では、刺激音周波数の変化により双極子の位置が変化した。高周波数刺激ほど、双極子は側頭回のより内側に推定された。視床近傍に近似された例では刺激音の周波数変化による双極子の変化を認めなかった。 聴性中間反応MLRについて睡眠の影響を検討した。MLRは比較的覚醒、睡眠レベルにより影響を受けるといわれており、これまでにも潜時、振幅の変化などにつき研究されてきている。今回、MLRの後半成分Pb,Nbにつき双極子の検討を行った。Pb,Nbの双極子は両側側頭部に近似されたが、覚醒時に比して睡眠時では、正中寄りに近似される傾向があった。今後症例数を増やし、睡眠覚醒レベルにおけるMLRの双極子についてさらに検討を行いたいと考えている。
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