1. 前庭動眼反射(VOR)、眼傾斜反応(OTR)および自覚的視性垂直(SVV)の検討1) 垂直半規管性VOR、OTRおよびSVVの検討 被検者を座位とし、頭位を60゚後屈、さらに左および右に各々45゚回旋させた状態で、水平回転刺激を負荷すると、垂直半規管が個々に刺激され興奮することが確認された。垂直半規管から解発される水平回転刺激後VORの三次元眼球運動解析(水平/垂直/回旋成分を被検者よりみた方向で評価)より各垂直半規管の興奮性・VORを検討すると、右前半規管より下眼瞼向/時計回りの眼振を、左前半規管より下眼瞼向/反時計回りの眼振を、右後半規管より上眼瞼向/時計回りの眼振を、左後半規管より上眼瞼向/反時計回りの眼振が解発される。また、前・後半規管ともにSVVおよびOTRに関係し、SVVは各垂直半規管から解発される興奮性・回旋性眼球運動(偏位)と反対方向に偏位する傾向にある。 2) 耳石性VOR、OTRおよびSVVの検討 球形嚢から垂直性・VORが解発され、卵形嚢から回旋性/垂直性・VORが解発される。また卵形嚢がOTRおよびSVVに深く関与していることが判明しつつある。 2. 直線加速度刺激装置の解発 座位および起立位にて自由落下が可能な直線加速度刺激装置を開発、作成した。半規管や感覚受容器系からの影響を除外しつつ、耳石器から解発される眼反射の評価が可能であると考えられた。 以上より、半規管および耳石器から解発される眼反射の評価方法の確立が可能であると考えられる。
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