研究課題/領域番号 |
10671623
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
村田 清高 近畿大学, 医学部, 教授 (60026945)
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研究分担者 |
斎藤 啓 近畿大学, 医学部附属病院, 助手 (40298972)
宮下 仁良 近畿大学, 医学部附属病院, 助手 (50298973)
磯野 道夫 近畿大学, 医学部, 講師 (50176260)
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キーワード | 顔面神経麻痺 / 後遺症 / 病的共同運動 / 赤外線カメラ / 他覚的評価 |
研究概要 |
顔面神経麻痺の後遺症として顔面表情筋の病的共同運動がある。これまで、病的共同運動は顔面神経麻痺の予後、治療効果の判定を評価するのに必須の項目であるのに定量的かつ他覚的には殆ど検討されていなかった。ヒトの体内には様々な筋肉があり、表層に近い横紋肪は骨や関節と連携しあい身体全体の運動を行っている。電気生埋学的にこれら個々の筋肉の運動を検討することはできても、実際に皮膚の上から筋肉の動きを捉えることは難しい。この点、顔面表情筋は顔面という一定の面積の領域のなかで運動し、電気生埋学的検討の他に顔面上のマーキングの軌跡を検討することで皮膚の上から筋肉の運動を検討できる唯一の部位であるといえる。我々は、本年度中に顔面表情筋上にマーキングしたマーカーの動きを赤外線カメラで異常共同運動つまり顔面麻痺後の後遺症の検討を行った。まず、正常者を用いた検討にて、正常の共同運動も他覚的に確認され、そのメカニズムがある程度解明された。さらに、異常共同運動をおこした表情筋上のマーカーの移動距離、移動速度を検討することにより、異常共同運動の詳細かつ綿密な情報を得ることができ、上口唇点での患側の移動距離が有意に長いことがわかるなど異常共同運動の他覚的評価のあしがかりを得ることができた。また、異常共同運動の評価法である村川らの評点法による顔面神経後遺症の評価法があった。この評価法と本研究の結果(表情筋上のマーカーの移動距離や移動速度を検討した結果)との間に相関があることもわかった。評点法による評価法と本研究の結果から臨床的に有用な評価法の確立が可能となった。
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