研究概要 |
目的)ニオイ刺激をヒトに負荷したときの脳磁図を周波数分析学的に検討することを目的とした。 対象と方法)対象はT&Tオルファクトメータで正常であった28から39歳までの11例(男性8名:女性3名)とし,覚醒安静・開眼の状態で行った。脳磁図の記録は岡崎研究所にある37channelのSQUID(BTi社)2基で行った。ニオイ刺激はアミルアセテート原液を用いた。左鼻腔内にサーミスタを設置し,刺激用チューブを右鼻腔内に挿入した。このサーミスタにより検知された呼吸の吸気に同期して,刺激制御装置のコンピュータ(PC-9801BS2)によりニオイ刺激(圧力0.05mPa)と空気を1秒間与えた。提示はランダムとし,二オイと空気は各々35回づつどした。両耳はホワイトノイズ60dBSPLでマスキングした。 解析)ワークステーションSun SPARCstationIPXで記録された脳磁図(5秒間)をFFTによって周波数分析し,その後アスキー形式でMacintoshの光ディスクに記録した。そのデータを当該研究で申請した解析装置power MacintoshG3で処理し,表計算ソフト(Excel)と統計ソフト(StatView)で計算した。 結果)左右半球のそれぞれのchannelのパワーを合計して,二オイ刺激と空気刺激による周波数帯域の変化を観察すると,個人差が大きく,また左右α1帯域の増加傾向を認めた。 しかし解析にあたり,脳磁図が記録されたchannelの中に,計測器が安定していないためのDClevelが混入して十分脳磁図が記録されていない部位があること,また低周波数のゆらぎが混入しているために見かけ上のパワーの増大しているChannelが観察されたことなどの問題点が認められた。これらを解決するために再度,原データをフィルタ処理して再解析する必要があると考えられた。
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