研究課題/領域番号 |
10671635
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
阿部 春樹 新潟大学, 医学部, 教授 (40018875)
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研究分担者 |
福地 健郎 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (90240770)
白柏 基宏 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (50242417)
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キーワード | スキャニングレーザーポラリメーター / 網膜神経線維層厚 / 視神経乳頭 / 実験緑内障 / 篩状板 / 形質転換増殖因子 / 神経栄養因子 |
研究概要 |
臨床的アプローチの結果として、正常60例120眼を対象とし、スキャニングレーザーポラリメーターを用いて、1.75視神経乳頭(乳頭)径の乳頭周囲リングと乳頭縁から0.8mm離れた乳頭周囲リングの異なる2つの部位で網膜神経線維層厚を測定し、網膜神経線維層厚と年齢との相関について検討した。1.75乳頭径リングと0.8リング上のいずれにおいても、網膜神経綿維層と年齢との間に有意な相関はながったが、網膜神経線維層の全周/鼻側比は加齢に伴い有意に減少し、網膜神経線維層厚の左右差は加齢に伴い増加傾向を示した。網膜神経線維層厚は個体間、左右眼間でもばらつきがあるが、加齢により非薄化し、1.75乳頭径リング、0.8mmリング上での網膜神経線維層厚は、この正常眼の加齢変化を同等に表すことが示唆された。 基礎生物学的アプローチの結果として、緑内障眼の視神経乳頭部に生ずる細胞外マトリックスの変化に関係して、TGF(形質転換増殖因子)-β、PDGF(血小板由来増殖因子)について調べたところ、サル眼実験緑内障眼の視神経乳頭部ではTGF-β1、2の発現が上昇し、レセプターについても発現が著明に増加していた。PDGF-A、B、およびレセプターは、いずれも不変、もしくは低下していた。緑内障眼におけるTGF-βの発現上昇は、篩状板の細胞外マトリックスの変化、乳頭部表面のグリオーシスの抑制に関与している可能性がある。また。実験緑内障の視神経乳頭部における神経栄養因子の発現の変化について検討したところ、NGF、BDNF、NT-4/5、CNTF、GDNFは視神経乳頭部、特に篩状板部付近を中心に発現が低下していた。レセプターであるtrkA、B、p75NGFR、CNTFRは篩状板部を中心に発現が上昇し、trkCについては明らかな変化を認めなかった。神経栄養因子は緑内障における視神経障害のメカニズムに密接に関係している可能性が示唆された。
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