研究概要 |
1. プロスタグランジンE_2(PGE_2)溶液を角膜に一定時間だけ接触させる経角膜的投与によってー過性の眼内炎症を惹起させる実験的ぶどう膜炎に対し,一定量の漢方薬を一定期間だけ投与して炎症反応が抑制されるかどうかを前房内蛋白濃度(フレア値として測定)を指標とした反応一時間曲線下面積(AUC)を比較して以下のような結果が得られた. (1) 眼内炎症を惹起する1週間前から漢方薬(黄連解毒湯)を動物の1日摂取量がヒト臨床使用量の1日量の3倍となるように飼料に混合して有色家兎に与えた結果では、経角膜的PGE_2投与で惹起した実験的ぶどう膜炎には有意な抑制効果は示さなかった. (2) 眼内炎症を惹起する1週間前から漢方薬(黄連解毒湯)を動物の1日摂取量がヒト臨床使用量の10倍となるように飼料に混合して有色家兎に与えた結果では、経角膜的PGE_2投与で惹起した実験的ぶどう膜炎を抑制する傾向はみられたが,統計学的には有意さを示さなかった. 2. 上記の炎症系とは惹起法が異なるLPS(lipopolysaccharide)の全身投与で惹起した実験的ぶどう膜炎に黄連解毒湯の前投与(1週間前からの投与)による抑制効果を調べた実験では,投与量がヒト臨床使用量の3倍量及び10倍量の何れにおいても有意な抑制効果を示した.(p<0.05) 3. 臨床的研究では,従来より継続中の白内障術後の眼内炎症に対する柴苓湯の効果を検討しているが,症例数が追加されたことにより漢方薬非投与群に比して有意な抑制効果が示された.
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