研究課題/領域番号 |
10671637
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
白尾 裕 金沢大学, 医学部, 助教授 (50154365)
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研究分担者 |
桜井 真由美 金沢大学, 医学部, 助手 (50303269)
東出 朋巳 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (20291370)
高比良 雅之 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (70283108)
西村 彰 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (70272979)
瀬川 安則 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (00262569)
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キーワード | 糖尿病 / 網膜電図 / 食餌制限 / 自然発症糖尿病ラット / OLETF / ドーパミン / 律動様小波 |
研究概要 |
自然発症糖尿病ラットにおいて、網膜電図律動様小波の異常と網膜内神経伝達物質代謝との関連について以下の知見が得られた。自然発症糖尿病ラットでは律動様小波は初期に短縮、増大し後期に延長、減弱した。律動様小波の頂点潜時が延長またはその振幅が増大あるいは減弱した自然発症糖尿病ラットにおいても、網膜内γ-アミノ酪酸、グリシン、グルタミン酸、タウリン、アスパラギン酸含有量は、同系対照ラットのそれらに比して有意差を示さなかった。網膜内ドーパミン含有量は、自然発症糖尿病ラットにおいて律動様小波の振幅と消長を共にしたが、その頂点潜時とは相関しなかった。また自然発症糖尿病ラット網膜においてドーパミン合成律速酸素チロシン水酸化酵素のmRNA量およびドーパミン代謝産物ジヒドロキシフェニル酢酸含有量は、ドーパミン含有量と消長を共にした。自然発症糖尿病ラットにカロリー制限を施行して糖尿病の発症を抑制すると、律動様小波振幅は後期には自由摂食によって糖尿病を発症した自然発症糖尿病ラットに比べて有意に大きかった。これらの結果は「自然発症糖尿病ラットにおいてはコレシストキニンB受容体の欠損によって初期には網膜内ドーパミン含有量が増大して律動様小波が増大するが、後期ではその効果よりも高血糖による律動様小波減弱作用が優り、カロリー制限自然発症糖尿病ラット(すなわち糖尿病を発症していない)では後期に至ってもコレシストキニンB受容体欠損の効果が持続する」と解釈される。ドーパミンD_1およびD_2受容体のmRNAの発現の程度は、自然発症糖尿病および同系対照ラットの間で有意差を示さなかった。血流改善剤シロスタゾールは自然発症糖尿病ラット後期における律動様小波遅延を予防し得なかった。 本年度の研究では、律動様小波頂点潜時の異常に関連づけうる網膜内神経伝達物質の異常を特定し得なかった。
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